執筆:北摂住まいガイド編集部/中古マンション担当ライター
中古マンションの購入経験があるライターが、自身の経験をもとに、購入までの流れや必要な準備、物件選びの注意点などを解説しています。
監修・編集:みやのぶ
北摂住まいガイド運営者。記事内容を確認し、自治体や公的機関、金融機関などの公式情報をもとに、掲載情報の正確性を確認しています。
中古マンションを探していると、「専有部分」「共用部分」「専用使用部分」という言葉に出会います。
似た言葉が並ぶため、結局どこまでが自分のものなのだろうと、戸惑う方も多いのではないでしょうか。
私自身、物件を見て回るなかで、室内と共用部分のどちらを優先するか迷うことが多いです。
- 室内はきれいだけれど共用部分の傷みが気になる物件
- 室内は古いけれど共用部分がしっかり管理された物件
みなさんはどちらを優先させますか?
区分を知らないままだと、購入後にこんな場面に直面するかもしれません。
- 劣化した窓を替えたいのに自分では決められない
- 設備の修理費を誰が払うのか分からない
そこでこの記事では、場所ごとの区分、費用負担の考え方、境界が分からないときの確認方法を順に解説します。
読み終えたときに、気になる物件で何を確認すればよいかが、具体的に分かるようになればうれしいです。
【この記事で分かること】
この記事では、マンションの専有部分・共用部分・専用使用部分の違いと、購入前に確認したいポイントを紹介します。
✓ 専有部分・共用部分・専用使用部分の違い
✓ バルコニー・窓・玄関ドア・配管の区分
✓ 修理・交換費用の負担を判断する考え方
✓ 境界や工事条件を確認する書類と質問例
専有部分・共用部分・専用使用部分の違い

結論から言うと、どこまでが自分の持ち物かは、法律とマンションごとの管理規約で決まります。
「住戸に付いているか」や「自分だけが使っているか」だけでは、専有部分か共用部分かを判断できません。
ここでは、区分所有法(マンションの権利関係を定めた法律)、標準管理規約(国土交通省が示す管理規約のひな形)、各マンションの管理規約を区別して説明します。
専有部分とは?区分所有者が所有する範囲
専有部分とは、区分所有者(マンションの一室を所有する人)が単独で所有する部分です。
区分所有法では、構造上も利用上も他の部分から独立した住戸の部分が対象とされています。
イメージとしては、壁・床・天井で区切られた、玄関から先の住戸の内部と言えるでしょう。
ただ、壁・床・天井のすべてが専有部分とは限りません。
標準管理規約では、次のように区別されています。
- 建物を支える躯体部分を除いた部分は専有部分(壁紙や床の仕上げなど)
- コンクリートの壁や床スラブ(床を支える構造部分)そのものは共用部分
標準管理規約はあくまで基本的な考え方を示したものです。
実際にどこまでが専有部分で、どこからが共用部分なのかは、マンションごとの管理規約で確認する必要があります。
特にリフォームや設備交換を考えている場合は、この違いを意識しておきましょう。
共用部分とは?法定共用部分と規約共用部分
共用部分とは、区分所有者全員、または一部の人が共同で使う部分です。
管理は、管理組合(区分所有者で構成される組織)が担うのが基本ですが、大きく二つに分かれます。
一つ目は「法定共用部分」です。
廊下や階段室のように、構造上、複数の区分所有者が共同で使う前提の部分で、法律上当然に共用部分となります。
以下がその一例です。
- 玄関ホールや廊下
- 階段
- パイプスペース
- 内外壁の躯体部分(壁紙など住戸内の仕上げ部分を除く)
- 界壁(住戸どうしを分ける壁)
- 床スラブ
- 基礎部分
二つ目は「規約共用部分」です。
本来は専有部分になり得る部分を、管理規約で共用部分と定めたものです。
具体的には、管理人室や集会室などが該当します。
どちらも、自分だけが所有する部分ではなく、原則として区分所有者全員、または一部の区分所有者が共有する部分です。
こうした共用部分の修繕費は、修繕積立金などを通じて、区分所有者全体で負担する形になります。
専用使用部分とは?「使える」と「所有する」の違い
専有部分と最も混同しやすいのが、専用使用部分でしょう。
専用使用部分とは、共用部分や敷地・附属施設などのうち、特定の区分所有者に専用使用権が認められている部分のことです。。
標準管理規約では、専用使用権は「特定の区分所有者が排他的に使用できる権利」と位置付けられています。
ポイントは、自分だけが所有する部分ではなく、専用で使う権利が認められているという点です。
- 専有部分は自分のもの
- 専用使用部分は、共用部分等のうち、特定の区分所有者が専用で使える部分
このように区別すると、混乱しにくくなります。
場所別に見る専有・共用の区分と変更の可否

ここでは、どちらなのか疑問が出やすい場所を、具体的に見ていきます。
共通するキーワードは「見た目では判断できない」です。
バルコニー・ベランダ・専用庭
バルコニーや専用庭は、居住者しか使わなくても、専用使用部分として扱われるのが一般的です。
避難経路になるうえ、防水層や外観など、建物全体に関わる部分だからです。
バルコニーにウッドデッキを敷き詰めたい場合は、どう判断されるでしょうか。
防水層を傷めたり、避難ハッチや隣戸との隔て板の前を塞いだりするおそれがあります。
そのため、規約で制限されたり、管理組合の承認が必要になったりすることがあります。
専用庭にも注意が必要です。
私が内見したある物件は、草が伸び放題でしたが、比較的広い庭が使えました。
手入れをすれば、洗濯物も干せるし、バーベキューもできる。
それならお得だと思いましたが、予算オーバーとなりやめました。
庭の専用使用者は専用使用料を納める旨が示されていたからです。
使用料の有無や金額はマンションによって異なりますし、専用使用料を払うだけの価値があるケースもあります。
いずれにせよ、さまざまなケースがあるので、規約の専用使用権の項目と使用細則で、次の点をチェックしておきましょう。
- 専用使用できる範囲
- 専用使用料の有無と金額
- 設置物や使い方の制限(ウッドデッキなど)
- 工事や設置に必要な承認手続き
専用で使える場所でも、使い方にはルールがあります。
ペット飼育や喫煙、工事申請などの確認点は、中古マンションの管理規約・使用細則のチェックポイントで紹介しています。
窓(サッシ・ガラス)と玄関ドア
窓や玄関ドアは、室内側に付いていても共用部分として扱われることが多く、見た目では判断できません。
標準管理規約では、次のように整理されています。
- 窓枠・窓ガラス:専有部分に含まれない
- 玄関ドア:専有部分は錠と内部塗装部分だけで、扉本体は共用部分
- 窓・ドア全般:専用使用権の対象(共用部分でありながら、その住戸の居住者が専用で使う)
この違いを実感した物件があります。
室内はリフォーム歴がなく劣化していましたが、窓のサッシは交換直後、かつ高性能でした。
管理組合による交換直後というのは、購入検討の前向きな判断材料のひとつになるでしょう。
別の物件では、玄関ドアが海風で劣化していました。
不動産会社を通じて確認してもらうと、管理組合で話し合いが進められていることが判明。
実際、一部のドアは交換済みだったので、問題なしと判断して物件を購入しました。
標準管理規約では、防犯・防音・断熱のための窓の改良は、管理組合が計画修繕として実施するのが原則です。
標準管理規約では、管理組合がこうした改良工事を速やかに実施できない場合、事前に理事長へ申請して承認を受ければ、区分所有者の責任と負担で実施できるとされています。
実際に利用できる手続きや工事の条件は、そのマンションの管理規約で確認しましょう。
そのため、窓や玄関ドアを交換したい場合は、管理組合による修繕や個人での工事に一定のルールがあることを知っておきましょう。
窓や玄関ドアの交換を確認するときは、今後の修繕予定と資金の準備も見ておきましょう。
中古マンションの管理状態を確認する方法では、長期修繕計画や修繕積立金の確認点を紹介しています。
給排水管・配線・設備
給排水管や配線は、位置と管理規約によって扱いが変わります。
標準管理規約では、専有部分の専用に供される設備のうち、共用部分内にある部分以外は専有部分とされます。
そして、別表では次のように整理されています。
- 給水管:本管から各住戸のメーターを含む部分までが共用部分
- 雑排水管・汚水管:配管継手と立て管(縦に通る管)が共用部分
具体的には、パイプスペースなどを通る給排水の本管は共用部分、そこから各住戸内に引き込まれた枝管は専有部分、というイメージです。
ただし、これは標準管理規約の一例にすぎません。
床下や壁の中の枝管がどこまで専有かなどの詳細は、マンションによって異なります。
設備についても同様です。
私が気に入った、築50年のマンションに設置されていた給湯器は、旧式でかなり大きなものでした。
不動産会社の担当者に交換の可否を問い合わせてもらうと、設置場所や共用部分との関係で自由に交換できないと言われました。
給湯器のような設備は専有部分とされることが多い一方、設置場所によって制約が生じる場合があります。
そのため、給湯器の交換を予定している場合は、設置場所や大きさなどの条件にも注意が必要です。
修理・交換費用は誰が負担するのか

費用負担は「場所」だけで決まらない
費用の負担者は、「壊れた場所が専有か共用か」だけでは決まりません。
次の三つが組み合わさって決まります。
- 壊れた場所
- 故障の原因となった設備
- 管理規約の定め
たとえば、住戸内の排水管が詰まったとします。
詰まった場所は専有部分でも、原因が共用の縦管にあれば、管理組合が対応するケースがあります。
逆に、専有部分の設備の劣化が原因であれば、区分所有者の負担になることもあります。
場所だけを見て「自分の部屋だから自分の負担」と考えるのは、早すぎるかもしれません。
専用使用部分でも、考え方は分かれます。
標準管理規約では、バルコニーなどの管理は次のように整理されています。
- 通常の使用に伴うもの(日常の掃除など):専用使用権を持つ人が行う
- それ以外の管理:管理組合が行うのが基本
玄関ドアも、先ほど触れたとおり、交換は個人ではなく管理組合の話し合いで進められていました。
費用の扱いも、個人の判断だけで決まるとは限りません。
一律に決めつけず、「場所・原因・規約」の三点で見る習慣をつけておきましょう。
水漏れなどで他の住戸に被害が及んだ場合は、費用負担とは別に、原因や過失の有無によって責任関係を確認する必要があります。
管理規約で変わる負担区分と考え方
費用負担を判断するには、各マンションの管理規約や細則に加え、故障の原因や工事の内容、総会決議なども確認する必要があります。
定め方はさまざまで、たとえば次のようなものがあります。
- 管理組合が負担
- 区分所有者が負担
- 内容に応じて分担
標準管理規約には、共用部分と構造上一体となった部分について、必要に応じて管理組合がまとめて管理できるという定めがあります。
配管の枝管のように、共用部分と一体で更新したほうが、効率的な場合があるからです。
ただし、実際の負担区分はマンションごとの規約によって異なります。
標準管理規約とは異なる定めになっている場合もあるため、購入時点の規約を確認しておきましょう。
また、改正区分所有法は2026年4月1日に施行されました。
これに先立ち、国土交通省は2025年10月17日に標準管理規約を改正しています。
各マンションの管理規約が自動的に変更されるわけではないため、購入時には規約の見直し状況も確認しておきましょう。
専有・共用の境界が分からないときの確認方法

見ておくべき書類と項目
境界が分からないときは、推測せず、書面で確認するのが基本です。
見るべき書類は次のとおりです。
- 管理規約:専有部分・共用部分の範囲、専用使用権の対象、設備の管理・修繕の責任など、マンションの基本的なルールがわかる(別表あり)
- 使用細則:バルコニーや共用部分の使い方、ペット・駐車場などの具体的なルール、改修工事のルールなどがわかる
- 重要事項調査報告書:管理費・修繕積立金、修繕履歴、管理組合の運営状況など、マンションの管理状況がわかる
- 図面(平面図・設備図):配管・配線やパイプスペース(PS)などの位置を確認する手掛かりになる
管理規約は、まず「専有部分の範囲」と「共用部分の範囲」の条文を探します。
専有部分・共用部分の範囲は、管理規約の別表で定められていることが多いです。
そちらもあわせて見ると、バルコニーや窓の扱いが分かります。
境界の確認とあわせて、管理費や修繕履歴なども書類で確かめておきましょう。
中古マンションの契約前に確認したい書類では、重要事項説明書と管理に係る重要事項調査報告書の見方を紹介しています。
不動産会社・管理会社への質問例
気になる物件があるときは、不動産会社を通じて管理会社に聞いてもらう方法があります。
私の経験でも、この方法で玄関ドアの状況を把握できました。
そこで、次の質問をメモして使ってみてください。
- バルコニー・専用庭の使用料や、使い方の制限はありますか
- 窓・玄関ドアは共用部分ですか、交換の予定や履歴はありますか
- 窓を自費で替える場合のルールはありますか
- 給排水管の専有・共用の境界はどこですか、更新の履歴はありますか
- 給湯器などの設備は交換できますか、大きさや位置の条件はありますか
- 設備の故障時の費用負担は、規約でどう定められていますか
- 規約は、区分所有法の改正に合わせて見直されましたか
回答はメモや書面で残しておくと、後で見返せるので安心です。
まとめ
ここまでの要点を整理します。
- 専有・共用は、見た目や使っている人ではなく、法律と管理規約で決まる
- バルコニー・専用庭は、一般に専用で使える部分だが、自分だけの所有物ではない
- 窓・玄関ドア・配管は、位置と規約で扱いが変わる
- 費用負担は、「場所・原因・規約」の三点で見る
私自身、物件探しでは、室内の状態だけでなく、共用部分の管理状況も気にするようになりました。
室内は自分で手を入れられても、共用部分は自分の判断だけでは変更できません。
だからこそ、専有部分と共用部分を分けて捉え、購入後に何ができるのかを考えておくことが大切です。
また、購入前まで来たら、次の三つのステップを踏んでおくと安心です。
- 気になる物件の管理規約・使用細則・重要事項調査報告書を、不動産会社に依頼して入手する
- バルコニー・窓・玄関ドア、給排水管の境界、費用負担の定めの3点を書面で確認する
- 分からない点は不動産会社や管理会社に質問し、回答を記録する
変更したい設備がある場合は、契約後ではなく、契約前に変更の可否や条件まで確認しておくことが大切です。
また、専有部分と共有部分の確認とあわせて、物件探しから契約・引き渡しまでの手順を把握したい方は、中古マンション購入までの流れをご覧ください。
北摂エリアで中古マンションを探している方へ
中古マンションの購入では、物件そのものだけでなく、周辺の住環境や交通アクセス、買い物環境なども重要な検討ポイントです。
北摂エリアで住まいを探している方は、各市や駅周辺の特徴も参考にしてみてください。


