執筆:北摂住まいガイド編集部/中古マンション担当ライター
中古マンションの購入経験があるライターが、自身の経験をもとに、購入までの流れや必要な準備、物件選びの注意点などを解説しています。
監修・編集:みやのぶ
北摂住まいガイド運営者。記事内容を確認し、自治体や公的機関、金融機関などの公式情報をもとに、掲載情報の正確性を確認しています。
中古マンションの購入を検討する際、多くの方が気にするポイントの一つが「騒音」です。せっかく理想の物件を購入したのに、入居後に上階の足音や外の車の音が気になって落ち着かない、といった事態は避けたいものです。
音の感じ方は人それぞれであり、「この程度の音なら全く気にならない」という方もいれば、「少しの音でもストレスに感じる」という方もいます。だからこそ、自分や家族にとって許容できる範囲なのかどうかを、購入前にしっかりと見極めることが大切です。
「騒音なんて、実際に住んでみないと分からないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、内見時のちょっとした工夫や、構造に対する基本的な知識を持つことで、入居後の騒音リスクを大幅に減らすことができます。
この記事では、実際に中古マンションを購入した私の体験談も交えながら、購入前に住戸内外の騒音リスクを確認する方法について詳しく解説します。
【この記事で分かること】
中古マンションの騒音について、建物の特徴と購入前の確認方法を、購入経験者の体験を交えて紹介します。
✓ 上下階・隣戸の生活音が伝わる仕組み
✓ 窓や設備から聞こえる音の確認ポイント
✓ 内見時と時間帯を変えた現地のチェック方法
✓ 管理規約や議事録で確認したいこと

マンションの音は大きく2種類「空気伝搬音」と「固体伝搬音」
騒音リスクを確認する前に、まずは「音の伝わり方」を知っておくことが大切です。マンションの生活音や外部の騒音は、音の伝わり方によって大きく2つの種類に分けられます。この違いを知っておくと、どこをチェックすべきかが見えてきます。
空気を伝わって聞こえる「空気伝搬音」
空気伝搬音とは、その名の通り「空気を震わせて伝わってくる音」のことです。
例えば、隣の部屋からの話し声やテレビの音、外を走る車の走行音、犬の鳴き声 などがこれに該当します。
空気伝搬音は、壁の隙間や換気口、窓ガラスなどを通り抜けて部屋の中に入ってきます。しかし、音を遮る障害物(コンクリートの厚い壁や防音性の高い窓など)があれば、音を小さく防ぐことが比較的容易な音でもあります。
床や壁を伝わって響く「固体伝搬音」
一方で、マンションの騒音トラブルで特に多いのが「固体伝搬音」です。これは、床や壁などの建物の構造(固体)に振動が直接伝わり、それが音となって別の部屋に響く現象です。
例えば、上階で子どもが走り回る足音、床に重い物を落としたときの「ドン」という音 、ドアを強く閉めたときの衝撃音などがこれに該当します。
固体伝搬音は、建物のコンクリートそのものを伝わって響くため、空気伝搬音に比べて防ぐのが難しいという特徴があります。「窓を閉め切っているのに、上の階の足音が響いてくる」というのは、この固体伝搬音が原因です。
上下階・隣戸から伝わる生活音と構造の関係
マンション内で最も気になる音といえば、隣戸や上下階から聞こえる「生活音」ではないでしょうか。ここでは、建物の構造や厚みが、生活音にどのような影響を与えるのかを解説します。
戸境壁の厚さと隣戸からの生活音
隣の住戸との間を隔てる壁のことを「戸境壁(とざかいかべ)」と呼びます。この壁の厚さや造りが、隣からの話し声やテレビの音などの「空気伝搬音」を遮る力に大きく関係します。
私が購入したマンションを調べてみたところ、隣の部屋との戸境壁は、ただのボードや間仕切り壁ではなく、コンクリートがしっかりと詰まった「躯体壁(くたいかべ)」になっていました。
RC造(鉄筋コンクリート造)ならではの密度の高さがあり、実際に住んでいても隣の部屋の生活音が聞こえてくることはほとんどなく、高い防音性を発揮していると感じています。
物件を検討する際は、図面などで戸境壁がコンクリートでできているか、厚みはどの程度あるか(一般的には150mm程度あれば遮音性が高いとされます)を確認してみてください。
スラブ厚・床構造と上下階の足音
隣の部屋の音が聞こえなくても、上下階の音については少し事情が異なります。床のコンクリート部分のことを「スラブ」と呼び、このスラブの厚み(スラブ厚)が厚いほど、足音などの固体伝搬音を響きにくくする効果があります。
しかし、私の体験談として、上階の足音は日中の生活音がある時間帯は全く気になりませんが、就寝時の静かな時間帯になると「コトッ」「トントン」と聞こえてくることがあります。
気になって仕方がないほどの大きな音ではありませんが、足音や物を落とした衝撃音は、構造の壁や床を伝って響きやすい性質があることを実感しています。
また、マンションの床構造には、コンクリートに直接床材を貼る「直床(じかゆか)」と、コンクリートと床材の間に空間を設ける「二重床(にじゅうゆか)」があります。
一般的に「二重床の方が防音性が高い」と思われがちですが、実際には床下の空間で音が反響する「太鼓現象」が起きることもあり、どちらが一律に優れていると断定することはできません。
スラブ厚や床の構造だけで実際の遮音性を完全に判断することは難しいため、「マンションに住む以上、ある程度の足音は聞こえるもの」という前提で物件選びをすることが大切です。
下階への配慮と「1階」を選ぶ選択肢
上階からの音が聞こえるということは、逆のことも起こり得ます。私たち自身も、下階の方にご迷惑をかけないよう、室内ではスリッパを履いたり、夜間の足音やドアの開閉音に注意したりと配慮して生活しています。
もし、小さなお子様がいらっしゃって「足音で下階に迷惑をかけないか心配」という場合は、あえて1階(最下階)の部屋を選ぶのも一つの選択肢です。1階であれば、下階への音を気にする必要がありません。
外からの視線などのプライバシー確保や、防犯設備がしっかりと完備されているマンションであれば、音を気にせずのびのびと子育てができるため、私は「1階もあり」だと考えています。

窓・サッシと周辺環境から聞こえる音
マンションの騒音において、室内の上下階からの音と同じくらい重要なのが、外から入ってくる周辺環境の音です。内見の際、室内の設備や間取りばかりに目がいきがちですが、窓を開け閉めして外の音を確認することは非常に重要です。
窓の開閉で外部騒音は大きく変わる
ここで、私自身が内見時に失敗したと感じた体験をお話しします。私が今のマンションを内覧したのは「冬場」でした。
外が寒かったことと、売主さんが在宅中の内覧であったため、「窓を開けて外の音がどの程度聞こえるか確認させてください」という要望が非常にしづらく、窓を開けずに確認を済ませてしまいました。
無事に購入して住み始め、季節が夏場になって網戸で生活をするようになると、思っていた以上に外を走る車両の音が気になることに気がつきました。
私のマンションは大通り沿いにあるため、今となっては「大通り沿いであれば致し方ない」「慣れればそれほど大きな音ではない」と感じていますが、購入後に「想定以上の騒音だった」と後悔するリスクを回避するためには、内覧時の確認が必須だと思いました。
売主さんがいらっしゃっても、遠慮せずに「少しだけ窓を開けて音を確認してもいいですか?」と尋ねてみてください。季節によって窓を開けて生活する時間帯があることを想像し、開けた状態での音の入り方をチェックすることが大切です。
道路や線路の音に加えて、周辺のにおいや交通量、夜道の明るさも確認しておきましょう。
現地で見るべき点は、中古マンションの立地・周辺環境の確認ポイントで詳しく紹介しています。
サッシの防音性能も忘れずにチェック
一方で、窓を閉めたときの音の変化も重要です。私の家の場合、外の車の音が聞こえていても、窓を閉めるとパタリと騒音が聞こえなくなる構造でした。
窓を閉めたときの聞こえ方は、ガラスだけでなく、サッシの仕様や気密性などによって変わります。複層ガラスが使われていても、それだけで遮音性が高いとは判断できません。
内見時には、窓を開けた状態と閉めた状態の両方で、車の走行音などがどの程度聞こえるか必ず比べてみましょう。

建物内部から発生する「機械・設備」の音
生活音や外部からの音以外に、意外と見落としがちなのがマンション建物内に設置されている「機械や設備」から発生する音です。これらも構造を通じて室内に響くことがあるため、間取りと合わせて確認しておきましょう。
配管の流水音や排水音
マンション内には、トイレや浴室、キッチンなどの水を流すための配管が壁の裏側を通っています。夜中など静かな時間帯に、この配管を通る水音が「ジャー」と聞こえてくることがあります。
配管(パイプスペース=PS)が寝室のすぐ横に配置されている間取りだと、深夜に上階の人がお風呂に入ったりトイレを使ったりした際に、音が気になって眠れないというケースもあります。
私の家の場合、室内の配管音は気になりませんが、一つだけ気になるのが「バルコニーの雨水管の排水音」です。
月に1回程度の頻度ですが、おそらく上階の方がバルコニーで靴を洗ったり、清掃をしたりした後の水が、勢いよく流れ落ちてくる音が聞こえます。排水管の立て管が真っ直ぐで、下階になるにつれて水が加速しているのかもしれません。
「あっ、今流れてるな」と分かる程度の音ですが、このように室外の配管を通る音もあるということを知っておくと良いでしょう。
エレベーターや機械式駐車場の作動音
エレベーターの昇降音や、機械式駐車場の作動音もチェックポイントです。特にエレベーターホールのすぐ隣の部屋などは、夜間にモーター音や到着の「チン」という音が響くことがあります。
私のマンションには立体駐車場がありますが、駐車場内で車両を上下させる際、それなりの動作音が発生します。しかし、家の中に入ってしまえば、通常の作動音は全く気になりません。
ただし、ごくまれに立体駐車場の扉をリモコンで閉めたつもりが、センサーが反応しておらず、扉が開放されたままで「ピーッ」と警告音が鳴り続けることがあります。その時はさすがに家の中まで聞こえてきますが、大抵はその場にいた人がすぐに閉める作業を行うため、長期間鳴り続けることはありません。
機械設備の音は、住戸の位置(駐車場やエレベーターからどれくらい離れているか)によって大きく影響が変わりますので、図面で位置関係を把握しておきましょう。

昼間の内見だけでは不十分!購入前にできる騒音チェック方法
騒音トラブルを避けるために最も重要なのは、「一度の内見だけで判断しない」ということです。騒音は、音源や時間帯、曜日、そして居住者のライフスタイルによって大きく異なります。ここでは、購入前にできる実践的な確認方法をご紹介します。
曜日や時間帯を変えて現地を確認する
多くの場合、物件の内覧は休日の昼間に行われます。しかし、昼間は外の交通量が多く、生活音がかき消されている可能性があります。逆に、平日の夜間になれば、外が静かになる分、マンション内の生活音(足音や入浴の音など)が目立つようになります。
そのため、可能であれば内覧の時間帯を夕方や夜に変えてもらったり、それが難しい場合は、自分たちだけで平日の夜や休日の朝にマンションの周辺を歩いてみることをおすすめします。
共用廊下を歩いてみて、テレビの音や話し声が大きく漏れていないか、周辺道路の交通量は時間帯によってどう変化するかを確認するだけでも、多くの情報が得られます。
騒音以外にも、室内の設備や共用部分の状態など、内見で確かめたい点があります。
見学前の整理には、中古マンションの内見チェックポイントも参考にしてください。
管理規約で音に関するルールを確認する
マンションには、住人が快適に暮らすためのルールを定めた「管理規約」があります。この規約の中に、音に関する取り決めが記載されていることがあるため、必ず確認しましょう。
例えば、ピアノなどの楽器の演奏可能な時間帯(例:午前10時〜午後8時まで)、床材(フローリング)のリフォーム基準 などが規定されています。
楽器の演奏時間が明記されていれば、その時間帯は音が聞こえてくる可能性があると予測できます。また、床の遮音基準が厳しく設定されているマンションは、音に対する管理意識が高いと判断できる材料になります。
議事録や管理会社・売主へ過去のトラブルを確認する
もっと直接的に騒音の状況を知る方法として、マンションの「総会議事録」を確認する方法があります。過去の総会議事録や理事会の議事録を見せてもらうと、「〇〇階の足音に関する苦情について」といった議題が上がっていることがあります。
また、内覧時にエントランスやエレベーター内の掲示板を確認し、「生活音に関する注意喚起」のチラシが貼られていないかをチェックするのも有効です。
さらに、仲介する不動産会社を通じて、売主に「上下階や隣戸との騒音について、苦情やトラブルを経験したことはありますか」と具体的に質問しましょう。管理会社が把握している相談や注意喚起の有無も、確認できる範囲で尋ねてみてください。
回答があった内容は記録に残し、議事録や掲示板の情報、現地での確認結果とあわせると判断材料になります。
議事録は、騒音への対応だけでなく、管理組合の運営状況を知る手がかりにもなります。
ほかに確認したい書類や共用部分の見方は、中古マンションの管理状態を確認する方法で解説しています。
万が一、入居後に騒音トラブルに悩んだら?
どれだけ事前に確認しても、入居後に上階の住人が変わったり、ライフスタイルが変化したりして、騒音に悩まされる可能性はゼロではありません。
もし、入居後に耐えられない騒音に悩んだ場合、当事者同士で直接部屋を訪ねて苦情を言うのはトラブルの元になりやすく、大変危険です。まずは、冷静に「いつ、どのような音が、どの程度の時間聞こえるか」をメモなどに記録してください。
そのうえで、マンションの管理会社や管理組合(理事会)に相談し、全戸に向けた注意喚起のチラシの配布や、掲示板への張り出しをお願いするのが一般的な手順です。
それでも解決せず、健康被害が出るような悪質なケースに発展した場合は、自己判断せず、自治体の無料法律相談や弁護士などの専門家へ相談することをご検討ください。

まとめ:騒音リスクを事前に把握し、納得のいく物件選びを
中古マンション購入において、騒音リスクを完全にゼロにすることは難しいかもしれません。集合住宅である以上、ある程度の生活音はお互い様という側面もあります。
しかし、事前にリスクを確認し、「このマンションはこういう音がする環境だ」と納得して購入するのと、入居後に初めて「こんなはずじゃなかった」と気づくのとでは、精神的なストレスが全く異なります。
購入を検討する際は、以下のポイントを意識してください。
✓空気伝搬音と固体伝搬音の違いを知り、構造上の特徴を理解する
✓内見時は遠慮せずに窓の開閉を行い、外の音の入り方を確認する
✓曜日や時間帯を変えてマンション周辺や共用部の環境をチェックする
✓配管やエレベーターなど、機械設備の位置関係を間取り図で確認する
✓管理規約のルールや、総会議事録で過去のトラブル履歴を確認する
私の体験からも言えることですが、些細なことでも疑問に思ったこと、気になったことは、内覧のタイミングでしっかりと確認しておくことが後悔しないコツです。ぜひこの記事を参考に、ご自身とご家族が安心して快適に暮らせる中古マンションを見つけてください。
また、騒音などの確認とあわせて、購入手続きの全体像も把握しておきましょう。
物件探しから購入申し込み、売買契約、引き渡しまでの手順は、中古マンション購入までの流れで紹介しています。
北摂エリアで中古マンションを探している方へ
中古マンションの購入では、物件そのものだけでなく、周辺の住環境や交通アクセス、買い物環境なども重要な検討ポイントです。
北摂エリアで住まいを探している方は、各市や駅周辺の特徴も参考にしてみてください。


